大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)773号 判決

被告人 高玉政美

〔抄 録〕

弁護人の控訴趣意第一点の二、三について。

よつて按ずるに原審が横須賀市池上町三千九百三十三番地先道路の幅員を約六・七五米、小泉雄二が子供用三輪車の把手に手を触れながら佇立していた地点を道路中央寄り約一・二一米、その反対側同所道路上に停車していた小型貨物用三輪自動車の位置を道路中央寄り約一・九六米までの地点と判示していることは論旨の指摘するとおりであるところ当審における検証調書及び原審における検証調書並びに司法警察員山口龜太郎作成の実況見分書等によれば原判示道路の幅員は原判示の如く約六・七五米であるが小泉雄二が佇立していた地点は道路中央寄り約〇・九米、その反対側同所道路上に停車していた小型貨物用三輪自動車の位置は道路中央より約一・四八米の地点までの地点であることは明らかであり、かくの如き事実の誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかであるからこの点に関する論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。

註 当審の認定した(罪となるべき事実)は、

「被告人は自動車運転者で京浜急行電鉄株式会社にやとわれ乗合自動車運転の乗務に従事していたものであるが、昭和二十七年十一月十二日午前十時四十分頃横須賀市池上町十字路の停留場を発車し同町三千九百三十三番地先道路上を国電衣笠駅方面に向い進行中前記番地先の幅員約六・七五米道路上に小泉雄二(昭和二十三年十二月八日生、当時三年十一月)が自動車進行方向に向い道路左側、道路中央寄り約〇・九米の地点に子供用三輪車の把手に手を触れながら佇立しており、その反対側右側の同所道路上、道路中央寄り約一・四八米までの地点まで小型貨物用三輪自動車が停車しているのを認め右小型三輪自動車と小泉雄二との中間を進行せんとしたがそのまま進行すれば右小泉雄二の右側の極めて接着した地点を通過することとなり、且つ同人は思慮分別のない幼児であるから何時道路中央寄りに向つて歩行するかも知れない場合をも慮り、かかる場合には自動車運転者としては一旦停止して同人を安全な場所に避難させる等の措置をとりもつて事故を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに拘わらずこれを怠り同人を距る約十二米の地点まで警笛を吹鳴しこれにより右雄二に対する措置は十分であり、時速を約十二粁に減じて同所を無事通過し得るものと軽信して右時速をもつて進行した結果、同人を車体に接触させて転倒させ左後輪タイヤで轢き因つて同人をして頭蓋内出血、脳損傷により同日午前十時五十分頃同市小矢部町二百二十二番地衣笠病院において死にいたらしめたものである。

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